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キク (菊)

別名:ポットマム、クッションマム
科・属名:キク科・キク属/原産地:中国/学名:Chrysanthemum × morifolium

分類: 多年草


寒さ: 強い
暑さ: 強い
開花時期: 夏菊(6月〜7月)、秋菊(10月〜11月)、夏秋菊(7月〜10月)、寒菊(12月〜1月)
草丈: 30cm〜120cm
花径: 1.5cm〜30cm(小菊:9cm未満、中菊:9cm〜18cm、大菊:18cm以上)
花色: 白、黄色、赤、紫、桃色、橙色など
種まき: 春まき
増やし方: 挿し木、株分け
場所: 日当たりを好む
用途: 鉢植え、花壇、切り花
花言葉: 高潔、私を信じて下さい、破れた恋、真の愛
小菊(真実、元気)
スプレー菊(清らかな愛)
キクは中国の原種などの雑種が起源で、1630年には園芸品種が500種類以上があったそうです。日本へは平安時代初期に伝わったそうで、江戸時代には改良された園芸品種の和菊などが作られてます。その後は中国や日本から欧米に伝わり園芸品種の西洋菊が作られました。その後も日本や西洋でいろいろな園芸品種が作られています。花の季節は秋に咲くものが一般的ですが、夏に咲く夏菊、冬に咲く寒菊もあり、切り花にも人気です。草丈は高いもので1mぐらい、低いもので30cmぐらいとコンパクトですが、矮化剤という薬を使って草丈を低く抑えているのもあります。
作業カレンダー(暖地基準)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花時期 開花 開花時期は種類によって異なる
場所 日向
種まき 種まき 仮植え 定植
植え付け 苗の植え付け
挿し木 挿し木
刈り込み 花後 花後
肥料 肥料
鉢の水やり 鉢土の表面が乾けば与える
キク
キク

主な菊のタイプ

大菊

菊展でよく見られる、花の大きさが18cm以上あるものです。花弁が盛り上がったように咲く厚物、筒状の花びらをした管物(くだもの)、一重咲きの一文字などがあります。 1茎から3本の花を咲かせる3本仕立て、草丈を60cm以下にする「だるま作り」や40cm以下にする「福助作り」などがあります。
大菊(厚物)
厚物
大菊(官物)
官物
大菊(一文字)
一文字

古典菊

花の大きさが9cm〜18cmぐらいのを中菊と呼ばれ、伝統的な中菊を古典菊と呼ばれています。花弁が立ち上がったり捻じれたりする江戸菊、花弁が細くて筒状で上品な花を咲かせる嵯峨菊、花の中心が盛り上がって咲く丁字菊などがあります。
古典菊(江戸菊)
江戸菊
古典菊(嵯峨菊)
嵯峨菊
古典菊(丁字菊)
丁字菊

小菊

花の大きさが9cm未満のを呼びます。菊展では盆栽にされ、幹を垂れ下げる懸崖作り、岩に植える岩付け盆栽、古木に植える木付け盆栽、枝を倒して芽を出させ樹木のように仕立てる筏吹き盆栽などがあります。
小菊(懸崖作り)
懸崖作り
小菊(木付け盆栽)
木付け盆栽
小菊(筏吹き盆栽)
筏吹き盆栽

西洋菊

西洋菊のポットマム、スプレーギクは日本の菊がアメリカで品種改良された品種です。ポットマムはコンパクトで小輪の花を咲かせ鉢植えに向き、花壇でも草丈が低く縁などに植えられます。スプレーギクは分岐が多く花はやや大きめで、草丈はやや高く切り花にも向いています。スプレーギクでも矮化剤で草丈が抑えられ、コンパクトな鉢植えで売られている事もあります。
ポットマムの庭植え
ポットマムの庭植え
スプレーギク
スプレーギク

キクの挿し木(一般)

キクは古くなると樹形が乱れてよい花が咲かなくなるので、毎年、挿し木から作って花を咲かせます。時期は5月頃、とても着きやすいので比較的容易に行えます。市販されているものは矮化剤という薬を使って樹形を抑えて売られている事が多いので、挿し木すると薬の効果がなく草丈が高くなる事があります。紹介しているのは大菊など、キク展に出すようなものではなく、ごく普通の方法です。

挿し穂

キクの挿し穂
挿し穂
真冬になると地上部の葉と茎は寒さで枯れ、株元にある新芽が越冬します。冬に葉が枯れてきたら、地上部から5cmぐらいの所で切り戻しておきます。新芽が春になると長く伸びるので、その新しく伸びた新しい茎を挿し穂に使います。長さ7cmぐらいで3節ぐらいの挿し穂を用意して、一番下の節の葉を取ります。

方法

挿し穂を3時間ぐらい水揚げしてから土に挿します。用土は市販されている挿し木用や、自分で作る場合は赤玉土(小粒)や鹿沼土(小粒)などを利用しするとよいです。方法は節が用土に埋まるように、あれば発根促進剤をつけて挿します。直射日光の当たらない、明るい日陰で土を乾かさないように管理します。昼間に葉が少ししおれる事がありますが、夜になってまた元気になれば大丈夫です。
5月中旬 5月下旬
キクの挿し木
挿し木
発根したキク
発根

定植

挿し木して2週間ぐらいすると新芽が伸びて根が出るので、鉢植えではそのまま定植、花壇では鉢に一度仮植えして定植するとよいです。用土は赤玉土(小粒)5、腐葉土5ぐらいに、緩効性の元肥などを混ぜて植えつけます。1週間ぐらい日に当てずに、明るい日陰で育てます。花壇では梅雨時期の6月中旬頃に腐葉土と完熟堆肥の牛糞などを混ぜて定植します。肥料については肥料の使い方を参考にしてください。
庭へ定植(キク)
庭へ定植
秋の開花(キク)
秋の開花

摘心

スプレー菊など、多く枝があった方がよいので、鉢上げ後の2週間ぐらいして先端の小さな芽を摘心して側芽を出させます。側芽も伸びたら3、4節残して摘心して枝を多く出させます。

育て方

菊展などに展示するものではなく、家庭で気軽に育てる簡単な育て方です。ただ花を咲かせて観賞したり切り花にするのであれば、それほど手間は要らず育てるのも難しくないです。

場所

日当たりのよい場所で育てます。鉢植えは夏に水切れすると葉が傷みやすいので、夏は西日の避けた所に置くとよいです。また、寒菊の鉢植えは霜に当たると花が痛む事があるので、軒下の日当たりの良い所に置くとよいです。

水やり

鉢植えでは鉢土の表面が乾けば与えます。花壇では雨があまり降らないようなら与えます。

肥料

肥料を欲しがります。鉢植えでは緩効性の化成肥料と液体肥料などを、花壇では骨粉入りの固形油粕などを開花前まで定期的に与えます。

種まき

ポットマムの種が売られている事があるので、4月頃に蒔くと秋に花を楽しむ事ができます。方法は箱まきで種が隠れるように覆土するとよいです。発芽するまで土を乾かさないよう水やりして明るい日陰で発芽させます。芽が出て少し大きくなったら日当たりの良い所に置いて、引っ付き過ぎないよう間引きします。本葉が2、3枚になったらポットに仮植えして、根が回ってきたら30cmぐらいの間隔で定植します。茎が5節から7節ぐらいになって摘心すると枝の分岐が多くなります。
5月上旬 6月上旬
キクの種まき
種まき二週間ほど
キクの仮植え
ポットへ仮植え
キクの定植前
定植前

冬の刈り込み

キク(株元の新芽)
株元の新芽
真冬になると地上部の葉と茎は寒さで枯れ、株元にある新芽が越冬します。冬に葉が枯れてきたら、株元から5cmぐらい残して刈り込みます。株元にある新芽が春になったら長く伸びてくるので、それを挿し穂にして苗を作り直すとよいです。そのまま育てても花は咲きますが、前年より姿が乱れてあまりよい花が咲かなくなります。

病気や害虫

病気、アブラムシなどの害虫が好むので、定期的に殺菌剤を散布して、オルトラン粒剤などを株元に蒔いたりして予防します。害虫については、花の病気と害虫駆除を参考にしてください。

草丈を低くしたい

矮化剤のビーナイン
矮化剤のビーナイン
売られている鉢植えは矮化剤という薬を使って草丈が抑えられている事が多く、挿し木すると買った時より草丈が高くなる事があります。もし購入した時のように草丈を抑えたい場合は、園芸店にビーナインという矮化剤が売られているので、それを利用すると効果があります。使い方は袋に入った粉を水で薄め、新芽に霧吹きで散布するという方法です。
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