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トラデスカンチア

学名:Tradescantia
別名:トラディスカンティア
科・属名:ツユクサ科・トラデスカンチア属
原産地:北米〜南米
分類:多年草
寒さ:強い〜やや弱い(種類による)
暑さ:強い
日照:半日蔭
耐陰性:あり

トラデスカンチア・ゼブリナ トラデスカンチア・シラモンタナの花
トラデスカンチアの仲間は北米から南米に75種類ぐらいが分布しています。北米が原産のムラサキツユクサ(T.ohiensis)など日本の庭に植えて育てられる種類もありますが、トラデスカンチアという名前がついて売られているのは、ほとんどが南米原産の葉が美しい観葉植物です。湿った所に自生しているものが多く、花は特徴のある3枚の花弁であまり観賞価値はありません。例外的にシラモンタナという乾燥地帯に自生するのもあり、こちらは花が美しいです。
作業カレンダー(暖地基準)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
場所 室内の日向(0度以上) レースカーテン越し 半日陰 室内の日向
植え替え 適期 可能
挿し木 挿し木
肥料 肥料
鉢の水やり 控えめ 表面が乾けば与える 控えめ

観葉植物としての主な種類

ゼブリナ(T.zebrina)

メキシコが原産で、和名はシマムラサキツユクサ、以前はゼブリナ・ペンデュラ(Zebrina pendula)と呼ばれていました。匍匐性なので釣り鉢にされて育てられる事が多いです。葉は先の尖った卵型で長さ4cmから10cmぐらい、緑に白から灰色がかった縞模様で、新しい葉は紫がかって美しいです。ピンクから紫色の小さな花も咲きますが、鉢植えで見られる事は少ないです。園芸品種もあって葉模様の薄いタイプやピンクがかったタイプもあります。
トラデスカンチア・ゼブリナ
ゼブリナ
葉模様の薄いタイプ(トラデスカンチア・ゼブリナ)
葉模様の薄いタイプ

シラモンタナ(T.sillamontana)

メキシコ北東部が原産で、葉に白い綿毛がある事から白雪姫という別名もあります。高さ20cmから30cmぐらいに直立して、次第に横に倒れて伸びてゆきます。乾燥した所に自生して、葉は厚く多肉植物のように水を蓄える性質があります。ピンクがかった小さな花は、白っぽい葉と重なって美しく見えます。寒さには比較的強く、暖地では霜の当たらない軒下に置くと、地上部の葉を枯らせて越冬します。
トラデスカンチア・シラモンタナ トラデスカンチア・シラモンタナの花

フルミネンシス(T.fluminensis)

南アメリカが原産で、和名はトキワツユクサと呼ばれています。葉は緑葉で初夏に白い花を咲かせます。日本に観賞用として持ち込まれたものが雑草化しています。観葉植物として育てられるのは、斑入りのバリエガタや葉が薄赤色に染まるラベンダーなどの園芸品種です。匍匐性なので釣り鉢にされて育てられる事が多いです。
雑草化したトラデスカンチア・フルミネンシス
雑草化したフルミネンシス
トラデスカンチア・フルミネンシスの花

トラデスカンチアの育て方

育つポイント

木漏れ日が当たる所を好みます。熱帯の植物なので、日本では気温の高い5月から10月頃にかけてよく生育します。秋が深まって気温が下がると生育が衰えて、冬になると完全に生育が止まります。寒さにはさほど強くありませんが、室内に入れると越冬します。

春から秋の管理

置き場所

木漏れ日が当たる所を好むので、室内ではレースカーテン越しの日光が当たる所に置くとよいです。夏の日差しは強すぎて葉が焼ける事があるので、午前中の緩やかな日光が当たるぐらいの半日蔭に置くとよいです。耐陰性があるので日当たりが悪い所でも育ちますが、あまり暗いと間延びして貧弱に育ちます。

水やりと肥料

鉢土の表面が白く乾いたら与えればよいです。肥料は緩効性の化成肥料を置き肥したり、定期的に液体肥料を与えるとよいです。シラモンタナ以外の湿った所を好む種類は、霧吹きで葉水を与えると葉色がよくなります。

シラモンタナの綿毛

葉が青くなったトラデスカンチア・シラモンタナ
葉が青くなった
日当たりが悪かったり、水やりが多過ぎると綿毛が少なくなって葉が青くなってしまいます。葉は多肉質で水分を蓄え水切れには強いです。ピンク色の小さい花も美しく、葉が綿毛で覆われると際立って見えます。強い日差しは葉焼けする事があるので、夏は半日蔭に置くとよいです。草丈が20cmから30cmぐらいと比較的大きくなるので、少し大きめの鉢に植えて玄関などに置いてもよいです。

植え替え、株分け

生育が早く根詰まりしやすいので、毎年植え替えるとよいです。時期は5月から6月頃に行うのが理想的ですが、9月頃まで行う事ができます。匍匐性のトラデスカンチアを釣り鉢にする場合は軽い土がよいので、赤玉土(小粒)5、ピートモス3、パーライト2などを利用するとよいです。根鉢の周りの土を簡単に壊して一回りから二回り大きな鉢に植え替えたり、株分けをして同じ大きさの鉢に植え替えてもよいです。

切り戻し

冬の寒さで下葉が減ってしまい姿が乱れる事があります。葉の減った茎は春の4月中頃になったら、数節残して切り戻しておくとよいです。気温が高くなると残した茎の節から新芽が伸びてきます。また生育期も伸び過ぎた茎があれば、短く切り戻して樹形を整えるとよいです。切った茎は挿し木に利用する事ができます。

晩秋の冬支度

寒さには強くないので、11月になったら戸外へ置いているものは室内へ入れます。生育が衰えて水もあまり吸わなくなるので、水やりする日の間隔も長くなってきます。寒さで生育が止まるので、肥料は与えるのを止めます。

冬の管理

置き場所

寒さにやや弱いので室内で越冬させるとよいです。できるだけ日当たりがよく、最低温度が5度以上ある窓辺に置くとよいです。暖房の風は乾燥しているので、葉に直接当たると傷みやすいので避けます。シラモンタナは寒さには比較的強く、暖地では霜の当たらない軒下に置くと地上部の葉を枯らせて越冬します。

水やりと肥料

気温が低く水をあまり吸わなくなり、生育もしないので肥料は必要ないです。水やりは控えめに、鉢土の表面が完全に白く乾いてから更に2、3日後に与えるぐらいでよいです。冬は用土がいつも湿っていると根腐れする事があるので注意してください。シラモンタナ以外の湿った所を好む種類は、冬は空気が乾燥して葉が傷みやすいので、暖かい時間帯に霧吹きで葉水すると予防する効果があります。

挿し木で増やせます

時期は気温が高ければいつでも行えますが、5月から7月に行って9月までに定植を終らせるのが良いです。長さ6cmぐらいの挿し穂を用意します。一番下の葉を取り除き、その部分が土に埋まるように挿せばよいです。用土は挿し木用の培養土を利用したり、自分で作る場合は赤玉土(小粒)7、ピートモス3などを、鉢や箱などに複数挿すとよいです。明るい日陰に置いて、土を乾かさないように水やりします。また水挿しも容易で、水を入れたコップに茎を入れておくだけで根が出てきます。3週間ぐらいしたら発根するので鉢に定植します。一鉢に1本だけでは寂しいので、複数植えるようにします。その後はある程度茎が伸びたら、先端を切って摘心すると茎の数を増やす事ができます。
トラデスカンチア・シラモンタナの挿し穂
挿し穂
トラデスカンチア・シラモンタナの挿し木
挿し木
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