ツツジの仲間で無燐片シャクナゲと分類されているものが一般的に呼ばれています。原種は大変多く300種とか800種とか明確に分かっていないぐらい多くあるようです。また交配でできた園芸品種もあるので相当な数があると推測できます。高山の涼しく空中湿度の高い所に生息していて、主に北半球の中国南西部からヒマラヤ地方に多くが分布しています。日本にも標高の高い所にいくつかの種類が自生していていますが、一般に庭に植えられたり鉢植えにされたりされた歴史は浅く、明治時代になってヨーロッパで品種改良された西洋シャクナゲが入ってからの事です。日本原産もあるので、それが庭に植えられなかったのが不思議ですが、深山に生息して目につかなかった事や神聖な木とされてあまり一般の庭には植えられなかったようです。古木がお寺によくあって、今では名所になっている所が沢山あります。
西洋シャクナゲ
18、19世紀頃に中国南西部などから収集したものが主にヨーロッパで品種改良されて日本に入ったものがこう呼ばれています。明治時代から売られたのですが、暑さに弱くあまり普及しなかったのが、昭和になってから暑さに比較的強い品種が選ばれて売られるようになってから普及してきたようです。花色は鮮やかで美しく、庭植えしやすい品種が多いです。樹高は1mぐらいの矮性のものから5mぐらいになるものもあります。
日本シャクナゲ
日本の標高の高い冷涼な所に自生しているので、夏の暑さに弱く暖地では育て難いのが特徴です。大まかに十数種類がありますが、自然交配したものもあるのでかなりあるようです。北海道から九州の標高の高い所に生息しているので、平地では暑さ対策のため鉢植えにして育てられる事が多いです。下記で紹介しているのは一部だけです。
アズマシャクナゲ
東北から中部地方の高山に分布しています。花色は主にピンク色で美しく、中には白色もあるようです。樹高は3mぐらいになります。 宮城県の御嶽山(標高483m)、群馬県の草津白根山(2160m)の石古根山に生息しているものは国の天然記念物に指定されています。
キバナシャクナゲ
北海道から中部地方の高山に分布しています。花色は薄い黄色をしていて樹高は30cmぐらいと低いです。他に白花や薄いピンク色の花色もあるようです。
長野県の八ヶ岳(2899m)に自生しているものは国の天然記念物に指定されています。
ツクシシャクナゲ
紀伊半島から九州にかけて分布しています。花色は薄いピンク色で樹高は4mぐらいになります。福岡県と大分県にある犬ヶ岳(標高1131m)、長崎県の多良岳(996m)に自生しているものは国の天然記念物に指定されています。
ハクサンシャクナゲ
北海道から中部地方、四国に分布しています。花色は白から紅色で樹高は3mぐらいになります。群馬県の草津白根山(2160m)の殺生河原周辺に生息しているものは国の天然記念物に指定されています。
ホソバシャクナゲ
静岡県から愛知県の比較的標高の低い所に生息しています。葉が細いのでこの名前になっているようで、花色はピンク色と白があり樹高は3mぐらいになります。数が少なく絶滅危惧種に指定されていて、両県の天然記念物にも指定されています。
ホンシャクナゲ
ツクシシャクナゲの変種と言われています。花色はピンク、白花で樹高は3mぐらいになります。岐阜県の笙ヶ岳(標高908m)、滋賀県の鎌掛谷(標高350m)にあるものは、国の天然記念物に指定されています。
ヤクシマシャクナゲ
屋久島の標高1000m以上の高い所に生息しています。花色は白からピンク色をしており、樹高は50cmから150cmぐらいです。日本からイギリスに贈られたものが注目を浴びた美しい種類です。 |