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月下美人

学名:Epiphyllum oxypetalum
科・属名:サボテン科・クジャクサボテン属
原産地:メキシコ原産
分類:常緑多肉植物
寒さ:弱い(7℃以上)
暑さ:強い
日照:日向
耐陰性:なし
花期:6月〜10月
草丈:50cm〜200cm
花径:約20cm〜25cm
花言葉:儚い美、儚い恋、繊細、快楽

月下美人 月下美人
月下美人の花のアップ 月下美人の花の裏側
メキシコ原産で森林性サボテンと呼ばれ、砂漠の中に生息しているものとは全く異り、樹木に着いて生息する着生植物です。夜開性で一晩しか花を咲かせない事で知られ、20cm以上ある純白色の花は名前通りに美人です。香りが強く匂いで咲いてる事によく気付きます。開花時期は6月から10月頃で、毎晩少しずつ咲くのではなく、一晩から二晩ぐらいかけて一斉に咲いて終わり、しばらく経つとまた蕾を着けて開花するのを2回から5回ぐらい繰り返します。花の元にある長い(かへい)は太く現地では受粉にコウモリが蜜を吸いにやって来て捉まるそうです。葉に見えるのは厳密には茎で、水分や養分を蓄えるので乾燥には比較的強く、根は細いので過湿は嫌います。育てやすく古くなっても挿し木で容易に仕立て直せるので、一度手に入れると長年育て続ける事ができます。
作業カレンダー(暖地基準)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花時期 開花
場所 室内の日向(7度以上) 日向 半日蔭 日向 室内(7度以上)
植え替え 植え替え
挿し木 挿し木
肥料 肥料
鉢の水やり 控えめ 鉢土の表面が乾けば与える 控えめ

夜開性

月下美人の開花
夕方になって暗くなると蕾が膨らみ始め、3時間ぐらいかけて花が完全に開きます。朝になって明るくなると萎む一日花です。

19時頃

20時30分頃
月下美人の開花
22時30分頃

咲く日の蕾

戸外へ置いたままだと咲いた事に気がつかず、朝になって萎んだ花を見て残念に思う事があります。咲く当日の蕾は昼間には少し膨らみ、花を包んでいる萼片が開いてきます。咲きそうな日は室内へ入れておくと、香りで咲いている事に気がつきます。開花する時に耳をすますと、厚い花びらがこすり合って音も聞こえます。
月下美人の蕾
開花前日の蕾
月下美人の蕾
開花当日の蕾

朝まで咲く事がある

朝まで咲く月下美人
10月15日 午前8時頃
秋は最低気温が低いと朝まで咲いている事があります。

同じ夜開性の仲間

夜の女王の仲間
夜の女王、満月美人、姫月下美人、十三夜美人などがあります。 写真は夜の女王と書かれたラベルを購入しましたが、別の品種と交配された種類のようです。月下美人との違いは、花の大きさが一回り小さく、葉が柱サボテンのようになっていて、花の時期は初夏だけ咲きます。

育て方

置き場所

木漏れ日が当たるような所を好みます。春や秋の日差しの緩い時期は直射日光によく当てて育てますが、夏は一日中日光に当てると葉がひどく焼けるので、午前中まで日光が当たる所に置くとよいです。夏は午前中の日差しでも葉が焼けやすいですが、多少黄色くなったぐらいの方が花芽が多く着きます。冬の寒さには弱いので、10月の終わり頃になったら室内へ入れ、真冬は最低温度7度以上ある日当たりのよい窓辺などに置きます。
4月中旬から10月中旬 日当たりのよい所から半日蔭(夏は半日蔭)
10月下旬から4月上旬 室内の日当たりがよい所(最低温度は7度以上で管理)

水やり

生育期の春から秋は鉢土の表面が白く乾いてから与えます。秋の涼しくなる9月下旬頃から徐々渇きが遅くなるので、水やりの間隔を長くしていきます。冬は表面が白く乾いてから更に2、3日後と控えめにします。春になって暖かくなってくると、だんだんと水を吸いはじめ乾くのが早くなりますので、表面が白く乾いたら十分に与えます。

植え替え

2年に1度ぐらいは植え替えをします。花の咲く親株は6月から蕾がつくので、その前の4月中旬から5月中頃までに終わらせた方がよいです。蕾のつく事のない苗などは9月頃まで行う事が出来ます。用土はシャコバサボテンの培養土を使用するとよいと思います。自分で作る場合は赤玉土7、腐葉土3ぐらいの水はけのよい土がよいです。葉が長く伸びると強風で倒れやすいので、重めの鉢を利用した方がよいです。それでも強風で倒れる事があるので、支柱をつけたブロックなどで葉を固定したりするとよいです。

肥料

春から秋まで緩効性の化成肥料などを置き肥するか、定期的に液体肥料を与えます。着生植物で根は強い方ではないので、濃い肥料の置き肥は避けるようにします。

シュートと茎節について

月下美人の茎節とシュート 月下美人の蕾
春になるとシュートという長い茎が伸び、そこの脇芽から茎節(けいせつ)と呼ばれる葉が出て、そこによく花を付けます。また、途中から更にシュートが長く伸びてくる事もあります。花が咲くのは1年以上経ったもので、同じ場所から再び咲く事はありません。よくシュートがよく増える事が毎年沢山の花を咲かせるポイントになります。

増やし方(挿し木)

月下美人の挿し木
簡単に増やす事が出来ます。時期は6月から9月の高温時期が最適です。今年か前年に伸びた長くて幅の広い茎節を根元から切り取り、切り口を日陰で2,3日ぐらい乾かします。過湿を嫌うので用土はミズゴケや赤玉土などの単用を利用し、あれば発根促進剤をつけて、2、3cm埋まるぐらいに挿します。そのままだと倒れやすいので支柱などで支えておくとよいです。数年して大きく育つと葉の勢いが弱くなる事があるので、挿し木から仕立て直すとよいです。

管理と植え替え

明るい日陰に置いて、水やりは表面が乾いてきたら与えます。肥料は芽が伸びてきてから与えるとよいです。初夏から夏に挿したものは夏から秋に定植用の土に植え替え、秋に挿したものは冬は室内で越冬させ、翌年の春に行うのがよいです。開花するぐらいの大きさになまで2.3年かかるので、それまでは毎年植え替えた方がよいです。

2005/8 挿し木後約 2ヶ月

2006/4
月下美人の植え替え
2007/4
月下美人の開花
2008/7

冬の管理

冬は低温で成長を止めて休眠しているので、肥料分は必要せず水もあまり吸い上げていません。寒さには弱く5度以下の低温に当たると葉が痛む事があるので、日当たりが良く7度以上の暖かい室内に置くとよいです。特に水やりは控えめに、鉢土の表面が白く乾いて更に2,3日後に与えるぐらいでよいです。土が湿った状態が長く続くと根腐れしやすくなるので注意してください。

初春の状態

冬を超えても葉色が多少悪くなるぐらいで越冬し、置き場所がよいと3月には新芽が伸びてきます。葉や茎が褐色帯びていたら、水の与え過ぎによる根腐れが原因かも知れません。春の植え替えをして、褐色帯びた元気のない葉があれば根元から切り取ります。

花がら摘み、和え物

月下美人の花がら
花がら
月下美人の酢味噌和え
酢味噌和え
花がらは放置すると見かけが悪いので切り取ります。また、花がらを茹でて酢醤油和えや酢味噌和えにして食べる事もできます。味は特に癖はなく少し粘りがあり、花の香りがほのかにして不味いものではなかったです。手軽なので興味のある方は試しに食べてみたらと思います。

蕾がつかない

1年以上経った葉に花が咲きます。年数が経っているのに蕾がつかない場合は以下が考えられます。

日照不足

木漏れ日の当たる所を好み、日照不足だと蕾の数が少なくなる事があります。春や秋の日差しの弱い時期は直射日光に当てますが、夏の日差しは強すぎるので、午前中の日光に当てる程度にします。葉が濃い緑色をしているより、少し葉が焼けて黄色くなるぐらいの方が蕾はよくつきます。

肥料の与え過ぎ

肥料分の少ない所で育っています。濃い肥料を与えると葉ばかりが茂って蕾が少なくなる事があります。

水の与え過ぎ

土の中に根を張らせる植物ではなく、樹木に引っ付いて育つので水は多く必要ありません。鉢土の表面が白く乾いたら与えるようにします。また冬は寒さで生育しておらず、過湿になると根腐れして、葉が赤くなって枯れる事があります。

病気や害虫など

ナメクジ

ナメクジに食べられた月下美人の葉
梅雨時期などに新芽や葉に穴をあけて食べられる事がります。市販の殺ナメクジ剤等を周辺にまいておくとよいです。

凍傷

凍傷を起こした月下美人
寒さには弱く凍りそうな低温にあうと凍傷になってしまいます。症状は褐色の斑点ができ、そこから枯れこんでいきます。冬はできるだけ7度以上の所で管理するようにします。

赤枯れ病

過湿による根腐れが原因で、葉が赤くなって枯れてしまいます。そのまま放置しておくといずれ枯れてしまうので、健全な部分を残して切り詰めて植え替えるか、健全な部分を切って挿し木します。寒い時期に症状が出てしまった場合は春を待ってから行います。

本来は実が成る

他家受粉という異なった遺伝子を持った花から受粉されると赤い実がなります。しかし、出回っているものは同じ遺伝子を持ったものが挿し木で増やされているので、これらを受粉しても結実しません。もし実を成らせたい場合は種から育った食用月下美人というのが売られているので、それを購入すると実を楽しむ事が出来ます。例外として同じ仲間の夜の女王などと交配すると結実する事があるので、もし育てていれば試しにやってみるのもよいかもしれません。受粉は二株が同時に咲かせるのは珍しいので、一方の雄しべの花粉を採ってビニール袋に密封して冷蔵庫に入れて保存しておき、月下美人の花が咲いたら雌しべに授粉するとよいそうです。うまくいくと3ヶ月ぐらいで熟すそうで、弱い甘味のある味がするそうです。
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