仏炎苞と花
サトイモ科の植物は仏炎苞があるのが特徴で、アンスリウムは光沢があり特に美しいです。これは葉の一部で真ん中のとがった花序に小さな花が沢山咲いています。花序は先端の方には雄花が、下の方に雌花が咲いています。仏炎苞と呼ばれるのは苞が大きく仏像と後にある炎がイメージされて呼ばれるようになったようです。色は赤の他に白やピンクをよく見かけますが、他にも紫、橙、黄、茶、緑や色の混じったものもあります。
 仏炎苞と花 |

橙色と黒 |
いろいろな種類
熱帯アメリカに600種類以上があると言われ、色々な仏炎苞や葉の形をしたものがあります。美しい仏炎苞でお馴染みのアンドレアナムやその園芸品種、葉にとても魅力のある観葉植物もあります。
アンスリウム・アンドレアナム

アンスリウム・アンドレアナムの白花 |
最もポピュラーな種類で、鉢花だけではなく切り花にも人気があります。原産地はコロンビア、学名はA.andraeanum、ベニウチワ(紅団扇)という別名もあります。仏炎苞の大きさは大体10cmぐらいで、葉が大きくなるほど大きくなります。寒さと夏の暑さを嫌うのでやや育て難いですが、夏を涼しくする設備や温室のある植物園では1年中花を咲かせています。
ヒメアンスリウムなどの矮性種

ヒメアンスリウム |
アンドレアナムの園芸品種で、矮性の小型も出回っています。葉の長さは10cmぐらい、仏炎苞の大きさは半分の5cmぐらいと小さく育てやすいのが特徴です。ハイドロカルチャーにして売られている事もあります。
葉だけを楽しむ観葉植物

アンスリウム・ポリスキスツム |
仏炎苞は美しくないので葉を楽しむ観葉植物もあります。半つる性のポリスキスツム(A polyschistum)は、葉がモミジのようなので、別名にモミジバウチワとも呼ばれています。節から気根が伸びて、ヘゴ仕立てにされる事があります。他に葉脈の美しいクリスタリナム(A.crystallinum)、葉が長くてとても大きくなるベイチー(A.veitchii)、また白から薄紫色の美しい実が成るスカンデンス(A.scandens)など変わったものもあります。
作業カレンダー(暖地基準) |
月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
開花時期 |
温室 |
開花 |
温室 |
場所 |
レースカーテン越し |
明るい日陰 |
レースカーテン越し |
植え替え |
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植え替え |
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株分け |
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肥料 |
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肥料 |
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水やり |
控えめ |
乾いたら |
乾いてきたら |
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控えめ |
アンスリウムの育て方
生育する温度について
弱い光が当たり、温度は25度前後でよく生育します。冬は10度以下の低温では葉が傷み、夏は30度を超える高温では生育が悪くなります。冬はできるだけ暖かい所に、夏はできるだけ霧吹きで葉水をして葉の温度を下げてあげる事が大切です。
空中湿度を好むので葉水を
土がいつも湿った状態は好みませんが、空中湿度が80%ぐらいある所を好みます。年間を通じて霧吹きで葉水をして、湿度を与える事も大切です。冬は気温が低いので温水を利用して、暖房の効いている時間帯に吹きかけます。
5月から10月中頃の管理
よく生育する時期です。強い日差しの当たらない、窓のある明るい部屋や戸外の涼しい日陰に置きます。冷房の効いた部屋では、乾燥した風が直接当たると葉が傷むので、直接当たる所は避けるようにします。水やりは与え過ぎると根腐れする事があるので、鉢土の表面が乾いたら与えます。しかし、真夏はよく乾くので、表面が乾いてきたら与えます。暑さを嫌うので葉水で葉の温度を下げるようの心がけるとよいです。肥料は花用の化成肥料を置き肥して、生育が悪いようなら薄めの液体肥料を追肥します。濃い肥料は根を痛める事があるので注意してください。枯れて見苦しくなった花は早めに切り取ります。
植え替え
根が詰まると葉の生育が悪くなって花も減るので、2年に1度を目安に植え替えます。時期は6月から7月中旬の梅雨時期が最適です。子株が増えている場合は株分けを兼ねて植え替えます。用土は通気性がよい土を好むので、ピートモス5、バーミキュライト3、パーライト2など、用土にパーライトを混ぜて使用すると調子が良いです。他に着生植物なので洋ランと同じように水蘚などを使用してもよいです。写真は通気性の悪い土に植えた時に、根腐れしてしまったもので、よい土に植えたら無事に回復しました。
2006/7月上旬 |
2007/3月下旬 |

根腐れ |

植え替え後約8ヶ月 |
株分け

増えた子株 |
株が増えて根が一杯に回ると花つきも悪くなるので、増えすぎた場合は植え替えの時に株分けを行います。古い土をできるだけ取り除いて、絡み合った根を丁寧に分けて植えつけます。また根が出た側枝を元から切り取って、根の所が土に埋まるようにそのまま植えても増やせます。
切り戻し

茎から伸びる気根 |
茎が伸びすぎて姿が乱れたら、木根の部分から下を切り戻して土に植えるとよいです。親株からも新しい葉が伸びてきます。用土は植え替えのと同じです。時期は6月から7月中旬の梅雨時期が最適ですが、早く行った方が親株から新芽が発生するのが早いです。
10月下旬から4月の管理
この時期の日差しは弱いので、室内のレースカーテン越しの日光の当たる場所がよいです。気温が下がると生育が止まり花も咲かなくなるので、肥料は必要ありません。水もあまり吸わなくなるので水やりは控えめに、鉢土の表面が白く乾いてから、更に2、3日後に与えるぐらいでよいです。冬に水を与えすぎると根が腐る事があるので注意してください。冬は空気が乾燥して葉が傷みやすいので、暖かい時間帯にぬるま湯を入れた霧吹きで葉水も散布してあげます。最低温度は10度以上が必要なので、出来るだけ暖房の効いた暖かい所に置きます。
冬ではないのに花が咲かない
葉が次々と増えると花も咲きます。夏は30度以上の高温になると生育が鈍るので、出来るだけ涼しい所に置いて葉水で葉の温度を下げてあげるようにします。もし購入して2年以上植え替えていない場合は、根詰まりしている可能性もあるので、適切な時期に植え替えた方が良いです。
病気や害虫など
ハダニ
発生すると葉の汁を吸われて小さな白い斑点が出来て生育も悪くなってしまう事があります。見つけたらハダニに対応した殺虫剤を散布して駆除します。葉が乾燥すると発生しやすいので、霧吹きで葉水を散布すると予防する効果があります。
カイガラムシ
葉や葉茎にカイガラムシが発生して、排泄物で葉がベタベタして生育も悪くなります。成虫には殺虫剤が効き難いので、シャワーなどで水をかけて古い歯ブラシなどで排泄物や成虫を落とします。幼虫には殺虫剤が効くので、再発しないようスミチオンなどにの殺虫剤を散布しておきます。それでも再発したらまた繰り返します。 |