学名:Prunus yedoensis
科・属名:バラ科・サクラ属
原産地:日本全国分布
分類:落葉高木〜低木(常緑もあり)
寒さ:強い
暑さ:強い
実期:5月〜6月
樹高:10m〜20m
花径:1cm〜5cm(種類による)
花色:桃色、白
場所:日向
水やり:庭木(普通)
肥料:骨粉入り固形油粕など
花芽分化:7月頃〜
用途:庭木、鉢植え(一部の品種)、切り花
花言葉:優れた美人、精神美
シダレザクラ(優美)
ヤエザクラ(理知に富んだ教育)
ソメイヨシノのアップ
3月下旬、公園
ソメイヨシノ
4月上旬、大分県護国神社
花見
4月上旬、臼杵公園
サクラの実
5月下旬、植物園
早咲きの桜(品種不明)
3月中旬、植物園
早咲きの桜2(品種不明)
3月中旬、植物園
毎年、桜の開花とともに本格的な春が始ります。北半球に多くの種類が分布しており、日本ではソメイヨシノを中心に、シダレザクラ、オオシマザクラ、ヤエザクラ、ヤマザクラ、カンヒザクラ、ジュウガツザクラ、カワヅザクラなど、自然交配されたものだけで100種類以上が分布、人工的に交配されたものを入れるとかなりの数があると言われています。
人が交配して出来た園芸品種はサトザクラと呼ばれています。
野生種
日本の野生種はヤマザクラ系(ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、マメザクラ、タカネザクラ(ミネザクラ)、オオシマザクラ、ミヤマザクラ)、ヒガンザクラ系(エドヒガン)、チョウジザクラ系があります。これらの純粋なものや、自然交配された種類が分布しています。
ソメイヨシノについて
樹高は約10m〜15m、花の大きさは約3.5cm〜4cmぐらい、咲き始めは薄紅色で次第に白色になります。植えてから早く美しい花を咲かせる事、花が一斉に咲いて一斉に散る姿もよい事から、沢山のソメイヨシノが植えられるようになりました。
種で増えない
DNAの分析などから、オオシマザクラとエドヒガン系との交配でできたという事が分かってます。また、山桜の遺伝子も混じっているそうです。種はできるのですが、自家不和合性という異なった遺伝子の桜との交配でしか実が成らないので、種を採ってまいても親と同じものが育ちません。ソメイヨシノの元は1本の樹木で、接ぎ木で増やされた同じ遺伝子をもったものが日本全土に植えられています。
標本木
桜の開花時期は品種によって少し異なります。標本木の多くがソメイヨシノなのは、遺伝子が同じで場所による気温の影響だけで開花時期が異なるからです。開花日とされるのは花が5輪から6輪以上が咲いた日になります。沖縄は暖かいのでカンヒザクラ、北海道は寒いので15か所のうち9か所がエゾヤマザクラ、根室はチシマザクラになっています。
起源の謎
江戸時代に染井村の植木屋が吉野桜として売ったのが始まりと言われています。江戸時代は園芸が盛んに行われており、人工的な交配で育てた苗を売っていたのかも知れません。最近になって上野公園にソメイヨシノと兄弟のエドヒガン系の桜が6本見つかっており、近くには同じ頃に植えられたソメイヨシノがあり、これが原木の可能性があると言われています。
名前の由来
明治時代に入ってから、藤野寄命という博物学者が上野公園でこの桜を見つけ調査し、染井村の植木屋が吉野桜と言う名前で売っていた事を突き止めました。奈良にある吉野の山桜とは異なる事から、この名前を付けたそうです。
寿命
寿命は60年ぐらいとあまり長くはないと言われており、原因はハッキリと分かっていません。樹齢100年を超えるものが、青森県の弘前公園に300本以上が残っていて、リンゴ栽培を元にした剪定技術によって今も花を咲かせています。
桜の歴史
桜の起源
まだ日本とアジア大陸が繋がっていた時代に、ヒマラヤから渡ってきたと言われています。現地にはヒマラヤザクラという温暖な地域に生息する、秋の10月頃に花が咲させるものがあり、同じヒマラヤでも、標高の高い所へ行くと、別の品種が春に花を咲かせているそうです。気候に対応しながら、長い年月をかけて北半球に広がって行ったのかもしれません。日本にも十月桜という、秋にも花が咲く品種があるので、祖先の名残りかもしれません。
お花見の由来
桜が咲くと木の下でお弁当を食べたり、お酒を飲んで賑わう風景をよく見かけます。花見が一般に普及したのは江戸時代からだそうです。当時もお酒を飲みながら宴会されていたそうで、着物姿で今と同じように賑やかだったのかもしれません。この頃の桜はソメイヨシノではなく、花の咲く季節が異なる色々な品種が植えられ、長く花見が楽しめたそうです。
貴族の遊び
平安時代に貴族が桜の下で歌を詠むという遊びから始まったと言う説があり、万葉集にも43首の歌が出てきます。奈良時代の花見は梅が多かったようですが、平安時代から桜にかわってきたそうです。
豊作を願う
飛鳥時代の古事記による説では、春になると田の神が桜に下りてくると信じられ、木の下で稲の豊作をお祈りをしたと言うのが、花見の始まりとも言われています。
日本の古木
大正11年に国の天然記念物に指定された古木、下記の桜を日本五大桜と呼ばれています。樹齢800年と言うと鎌倉時代、樹齢2000年と言うと弥生時代になります。
山高神代桜
山梨県の実相寺にある樹齢約2000年と言われる日本最古の江戸彼岸桜です。 樹高10.3m、幹周り11.8mあります。
根尾谷薄墨桜
岐阜県の淡墨公園にある樹齢約1500年の言われる江戸彼岸桜です。 樹高は16.3m、幹周り9.9mあります。
三春滝桜
福島県三春町にある樹齢約1000年を超えるエドヒガン系の紅枝垂れ桜です。樹高は13.5m、幹周りは8.1mあります。
石戸蒲桜
埼玉県の東光寺にある樹齢約800年以上のカバザクラ(蒲桜)。江戸彼岸と山桜の自然交配で出来た品種だそうです。 樹高は14m、幹周りは6.6mあります。
狩宿の下馬桜
静岡県富士宮市にある樹齢約800年以上で日本最古の山桜です。 樹高は14m、幹周りは4.6mで、以前は樹高35m、幹周りが8.5mあったのですが、たびかさなる台風などの影響で今の姿になったそうです。
その他の古木
他に国の天然記念物に指定されている古木は、長野県にある樹齢約1200年の素桜神社の神代桜、山形県にある樹齢約1200年の伊佐沢の久保桜、同じ山形県で樹齢約1200年の草岡の大明神桜、岐阜県にある樹齢約1100年の臥龍桜、兵庫県にある樹齢約1000年の樽見の大桜があり、いずれも江戸彼岸桜です。他には樹齢約800年の大島のサクラ株(大島桜)などが指定を受けています。
植える場合
庭木が少ない訳
ソメイヨシノは根が広がり大木になるので、公園などの広い所に8m〜10mぐらいの間隔で植えられています。庭木としては広い敷地が必要な事、虫が付きやすい事、花びらが近辺に散る事もあって、あまり植えられる事はありません。また、剪定でコンパクトにできればよいのですが、桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿という言葉があるように、桜は枝を切ると腐って枯れやすいです 。
縁起
花が咲いてから散るのまでが短いとか、桜散るのが縁起が悪いと言われる事があります。しかし、結婚式ではフラワーシャワーや桜茶などに、桃の節句では桜餅に利用されたりするので、縁起が良い悪いは人それぞれの考え方のようです。
大木にならない品種
中には樹高が2m〜6mぐらいと大木にならず、あまり広い場所を必要としない品種もあります。
旭山桜
盆栽のも人気があるサトザクラの仲間です。樹高が低い頃から花が咲くので一才桜とも呼ばれています。花は薄紅色で八重咲きと大き目で、開花は4月中旬頃です。
南殿桜
チョウジザクラとサトザクラの交配で出来た品種と言われています。花は中輪の薄紅色をした八重咲きで、開花は4月上旬頃になります。
天の川桜
枝が横に広がらず、箒状に上へ伸びます。花は大輪の薄紅色をした八重咲きで芳香があります。開花は4月中旬頃です。
啓翁桜(ケイオウザクラ)
シナオウトウとヒガンザクラの接ぎ木で枝変わりした品種です。枝が横に広がらず、細い枝が沢山上へ向かって伸びます。切り口が腐れにくい事から、切り枝に向いています。花は小輪で薄紅色をした一重咲き、開花は3月上旬頃からと早咲きです。
マメ桜
本州中部に生息する野生種の一つです。富士桜、箱根桜と呼ばれる事があり、この辺りを中心に生息しているそうです。花は小輪の薄紅色で一重咲き、開花は4月〜5月上旬頃です。盆栽としてもよく利用されています。実が美味しいそうです。
おかめ桜
マメ桜と寒緋桜の交配で出来た品種です。花は小輪の紅色をした一重咲きで、下を向いて咲きます。開花は3月頃と早咲きです。
小彼岸桜
江戸彼岸とマメ桜の雑種と言われています。花は小輪の薄紅色をした一重咲きです。開花は3月下旬頃で少し早咲きです。
御殿場桜
マメ桜系の雑種で、御殿場市でよく見られる事からこの名前になったようです。花は中輪の薄紅色をした一重咲きで、開花は4月上旬頃になります。 盆栽としても人気があります。
管理のポイント
苗の植え付け
適期は12月から3月頃の落葉期です。枝が横に伸びても余裕のある日当たりがよい所に、幅、深さ50cmぐらいの穴を掘ります。水はけをよくするために掘り上げた土に腐葉土をたっぷりと、元肥に完熟牛糞などを混ぜて植えつけます。強風で倒れないよう支柱でしっかりと支えます。
剪定
適期は落葉期です。切り口が腐れやすいので、太い枝は切らないようにします。不要な1、2年枝があれば、太くならないうちに元から切り取り、癒合剤のトップジンMペーストなどを着けて殺菌、保護します。
害虫
ケムシ類が好みます。定期的に殺虫剤を散布して予防します。