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コチョウランの育て方

ファレノプシス/コチョウラン(胡蝶蘭)

■学名:Phalaenopsis
■科・属名:ラン科・ファレノプシス属
■原産地:フィリピン、インドネシア、タイ、ビルマ、インド
■分類:多年草、常緑、非耐寒性
■開花期:周年(温室)、家庭では春〜秋
■草丈:20cm〜100cm
■花径:3cm〜12cm
■花色:白色、桃色、黄色など
■増やし方:高芽とり
■用途:鉢植え、切花
■花言葉:あなたを愛します、幸福が飛んでくる

胡蝶蘭の紹介

胡蝶蘭は着生ランという、木などに根を広げて着生している高温多湿地帯に生息する植物です。台湾の南部からフィリピン、インドネシア、タイ、ビルマ、インドに広がり、一部はオーストラリアにも自生しています。花は優美さがあり、白色は清そな感じが、ピンク色はかわいらしい姿をして、花色もいろいろあります。花の大きさも大輪の花、小輪咲きのミニ胡蝶蘭などもあります。とても女性に人気があり、花も1〜3ヶ月と驚くほど長持ちです。新築祝、開店祝、開業祝などの贈り物としても人気があります。

作業カレンダー(暖地基準)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花時期 開花
自然開花 花茎成長 自然開花 花茎成長
場所 10度以上の室内(レースカーテン越し) 戸外(50%〜70%遮光) 室内(レースカーテン越し)
植え替え 植え替え
肥料 肥料
鉢の水やり 控えめ 鉢土の表面が乾けば与える 控えめ


胡蝶蘭の育て方

寒い時期に購入した胡蝶蘭の開花株

熱帯の植物で、寒さがとても苦手です。真冬に購入したものは温室育ちで、開花株は最低温度を15度ぐらいに保つ必要があります。置き場所はレースカーテン越しの日当たりのよい場所に置き、水やりは植え込み材料の表面が乾いて水気が感じられなくなってから、室温ぐらいに暖めた水を与えます。水の与えすぎは根腐れの原因になりますので注意します。ただし湿度を好むので、ある程度空中湿度が必要です。暖房の効いた部屋などでは暖かい時間に何回か霧吹きなどで加湿してあげます。空中湿度が不足すると花の寿命も短くなります。肥料は開花中に必要ありません。開花も終盤になって一番最後の花が咲き終わったら、切り花にすると結構長く花を楽しむ事ができます。切る際に花茎の途中で花茎切りを行うと2番花が咲く事があります。

売られている花後の胡蝶蘭

数株のポット苗や裸苗が寄せて植えられてる事が多いです。そのまま管理すると根が腐りやすく育てるのが難しいので、花が終わったら各一株ずつにして育てるようにします。花が終わった時期が丁度5月から6月頃なら、一鉢ずつにして植え替えますが、それ以外の時期なら、数株のポット苗や裸苗を出して、ポット苗は一つずつにして育て、裸苗の場合は同じぐらいの大きさの素焼き鉢にそのまま入れて育て、春の5月から6月頃になったら植え替えます。

前書き

年間を通じで販売されていますが、これは温室で温度調節され強制的に花を咲かせたものです。自然では11月から12月に花茎が伸び、冬に加温した温室では2月から3月頃の開花、暖房の効いた暖かい部屋に置いた簡易ビニール温室内では3月から4月頃の開花、暖かい通常の室内ではそれ以降の開花になります。ただし、胡蝶蘭は冬の寒さ、冬の乾燥(空気)にも弱く、室内に置いただけで花を咲かせるのは難しくなります。

置き場


遮光ネット
直射日光に当ててはいけない蘭ですので、寒い時期はレースカーテン越しに、暖かくなってきた春からは50〜70%遮光ネットで遮光してやります。熱帯の植物ですので、寒さには弱く、冬は室内の最低温度7度以上、できれば10度以上を保てる場所に置くようにします。冷え込みそうな晩は、窓際を避けた冷え込まない場所に移したり、ダンボールなどの中にバスタオルなどで包んだ湯たんぽと一緒に入れたりして保温するとよいと思います。その際は、中が高温にならないよう注意してください。暖かい日や暖房の効いている時は時々霧吹きなどで加湿してあげます。花茎は11月から12月に伸び始め、最低温度が18度ぐらいの日が1ヶ月ほど続くと花芽がつき開花していきます。その時期は霧吹きなどで加湿してあげます。最低温度が18度以上になれば風通しのよい戸外で育てる事ができます。必ず50〜70%の遮光ネットで遮光してやります。風通しがよければ室内でもかまいませんが、真夏の夜間は窓を空けて風通しをよくしなければ、蒸れて株が弱る事があるので風通しには注意してください。外で管理する場合は梅雨時期の長雨に当てないように注意します。寒くなって最低温度が18度以下にならないうちに室内へ取りこみます。

水やり

植え込み材料の水ゴケなど表面が乾いて水気が感じられなくなってから与えます。水の与えすぎは根腐れの原因になりますので注意します。夏の戸外は一日で乾いてしまう事があるので乾かしすぎには注意します。最低温度が18度以下になる前に室内へ取り入れ、最低温度が10度以上を保てない場所で育てる場合は、1ヶ月に1度ぐらい室温と同じぐらいに温めた水を与えるぐらいにして、乾かし気味に管理します。元々乾季のあるところに生息しているので乾きには強い植物です。だだし空中湿度をとても好むので、暖かい日や暖房の効いた部屋では時々霧吹きなどで加湿してあげます。また最低気温が18度ぐらの花芽分化期から花が咲く時期も霧吹きなどよく加湿してあげるようにします。蕾が付いている時期に空中湿度が不足すると蕾が黄色くなって落ちてしまう事があります。

植え替え

植え替えの時期は最低温度が15度以上になった5月から6月頃に行ないます。花が咲いているものは花後に行います。植え替え周期は2年に1度ぐらいです。用土は水ゴケやバークを使用します。水を与えすぎてしまう人はバークがよいと思います。鉢は素焼きを使いますが、バークの場合はプラ鉢がよいと思います。鉢植えの大きさは小さめがよく、ミニ胡蝶蘭で4号から4.5号、大輪系で4.5号から5号鉢を目安に植え替えます。その他は洋蘭の植え替えをご覧ください。

水苔の場合

根を痛めないよう丁寧に古くなった水ゴケや痛んだ根を取り除き、新しい水ゴケを足して植え替えます。酷い根詰まりの場合は全部古い用土を取り除きます。鉢はプラ製ではなく通気性のよい素焼きを使います。

バークの場合

水苔で植えられている場合は根を痛めないよう丁寧に水苔を全て取り除いてから植え替えます。根がパンパンに張って硬い場合は水の入ったバケツにしばらく着けて水苔をやわらかくすると取り除きやすくなります。バークで植えられている場合は、古いバークと腐った根を取り除いて新しいものと取り替えて植え替えます。

肥料

最低気温が15度以上の生育温度があり、花の開花していない時期なら定期的に洋ラン用の緩効性化成肥料を置き肥したり、一週間に1回洋ラン用の液体肥料を与えます。普通の液体肥料の場合は通常の5倍ぐらい薄めにして与えます。開花している時期や冬の生育温度のない場所での肥料は必要ありません。

支柱と誘引

ミニ胡蝶蘭は花が小さく、花茎が短いと花の重みであまり垂れ下がる事はないので、簡単に支柱で支えるぐらいでかまいません。もし姿をよく見せたいのであれば、必要に応じて誘引するとよいと思います。大きな花が咲くタイプは花の重みで花茎が垂れやすく、姿をよく見せるためにも支柱とビニタイなどを使って誘引するとよいです。明るい方向に花茎が曲がって伸びるので、曲げたい方向が明るくなるよう鉢を置きます。曲げた支柱に花茎を誘引する方法は、若くて柔らかい花茎を支柱に沿って無理せず曲げ、折れやすい節を避けた所を簡単にビニタイで仮止めします。しばらくして更に花茎が伸びたら前回仮止めした所を必要なら本止めして、更に伸びた花茎をまた無理せず曲げて仮止めします。これを花茎が伸び終わるまで繰り返します。もし、支柱が足りなくなったら、適度な長さに切った支柱をビニールテープなどでつなげて足せばよいです。慣れれば難しい事はありませんが、せっかく伸びた花茎なので、無理に曲げて花茎を折らないよう注意してください。特に硬くなった花茎は折れやすいです。花は明るい方に向いて咲くので、その後も花茎の先端を明るい方に向けたまま花を咲かせます。
ミニ胡蝶蘭 大きな花を咲かす胡蝶蘭の支柱と誘因

簡単な支柱

支柱と誘引

誘引途中の仮止め

高芽とり

まれに花茎上に子株が出てくる事があるので、この子株の葉が2、3枚になった頃に切りとって水ゴケに植え付けます。開花までには2年ぐらいかかります。また、花茎の途中から花茎が伸びてくる事もあります。必要なら誘引して花を咲かせます。
子株


花茎の途中から伸びる花茎

花茎切り


4月上旬

開花(6月中旬)
春に花が全部咲き終わるか、花が咲き終わってきて切り花にする場合、花茎を全部切らずに下から3、4節ぐらい残して切ると、切り落とした下の節からまた新しい花茎が伸び2番花が夏頃まで咲く事があります。通常2番花は始めに咲いた1番花より花の数は少なくなります。3番花も咲く事がありますが、花を咲かせ過ぎて株が弱り、来年の花を咲かせるのに影響してしまいますので、2番花が終われば茎の根元から切り取ってしまいます。また初夏頃の遅い時期に開花が終わったものや状態のよくないもの、小さなものなどは2番花を咲かせると株が弱ってしまうので、1番花が終われば茎の根元から切り取ります。切り取る際はハサミを火であぶるなど、殺菌して切り取ります。

温室


11月下旬(花茎)

3月下旬(開花)
熱帯の植物ですので、冬の管理が難しくなります。そこで温室に入れておけば安全に冬を越す事ができます。最低温度が15度以上あれば冬でも成長し続け、最低温度が18度以上あれば冬でも開花します。温室で育てる時も湿度70%〜80%ぐらい加湿して、必要なら遮光、内気扇などを使って通風をよくします。通風が悪いと軟腐病になって腐る事があります。温室で育てる場合は生育期間が長いので、葉の数も多く花つきもよくなって有利になります。右の温度設定は夜間は約18度、昼間は約20度に設定しています。温室については温室栽培のページをご覧ください。

真冬の管理

温室内ではない冬の管理は、最低温度8度以上を保つようにします。とても冷え込みそうな日は窓際を避けた場所に移し、ダンボールの中にタオルでしっかりと包んだ湯たんぽと一緒に入れるなどして保温するとよいです。その際は中が高温にならないよう注意してください。10度以下では全く成長しないので、水の与え過ぎには十分注意します。室温の低い真冬の水やりは、月に1回室温と同じぐらいに温めた水を与えるだけよいです。元々1、2ヶ月間雨の降らない乾季のある地域に生息しているので、乾きにはとても強い植物です。しかし空中湿度をとても好むので、暖房の加温中はときどき葉や茎に霧吹きをかけて加湿します。肥料は真冬は成長していないので与えません。