花と観葉植物(葉っぱの岬)

カスミソウ


学名:Gypsophila
科・属名:ナデシコ科・ギプソフィラ属
原産地:ユーラシア大陸
分類:一年草、多年草
寒さ:強い
暑さ:一年草タイプ(枯れる)、多年草タイプ(やや弱い)
草丈:50cm〜80cm、矮性(20cm〜30cm)
花径:小輪(約 0.5cm〜1cm)、大輪(約2cm)
花色:白、ピンク
種まき:秋まき
発芽温度(15℃〜20℃)
箱まきなど
場所:日当たりを好む
用途:花壇、鉢植え、切り花、ドライフラワー
花言葉:感謝、切なる喜び、清い心
通販店:楽天市場にあり

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カスミソウ(白色)
5月下旬、自宅の庭

カスミソウ(ピンク)
4月下旬、自宅の庭

ユーラシア大陸を中心に分布するカスミソウの仲間は125種類ほどがあります。切り花によく利用される小さくて白い花が霞のように咲く種類は2つのタイプがあります。一つは宿根カスミソウと呼ばれ、八重咲きはブーケなどに好まれて使われています。もう一つは種まきから育てられる一年草タイプで、花の大きさは2cmぐらいのと一回り小さい1cmぐらいの花を咲かせるタイプがあります。カスミソウといえば切り花にされる花のイメージですが、鉢植えやロックガーデンなどにして育てられる高山植物のギプソフィラ・レペンスやオノエマンテマという草丈が低く匍匐して育つ仲間もあります。

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作業カレンダー(暖地基準)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
開花時期 開花
場所 日向 半日蔭(宿根タイプ) 日向
種まき 種まき 仮植え
植え付け 植え付け 植え付け
肥料 肥料(控えめ) 肥料(控えめ)
鉢の水やり 表面が白く乾いてから与える(過湿を嫌う)

一年草タイプと多年草のタイプ

一年草タイプ

学名はG.elegans、コーサス地方、ウクライナが原産で夏の暑さで枯れる一年草です。暖地では秋に種が蒔かれ、春の4月中旬から5月頃に花を咲かせます。花径は1cmぐらいの小さな花を咲かせるタイプと、2cmぐらいのやや大きな花を咲かせるタイプがあります。また草丈は50cm〜80cmぐらいとやや高めなのが一般的ですが、20cm〜30cmぐらいと低い矮性もあります。

左が2cmぐらいの白、右が1cmぐらいのピンク

多年草タイプ

宿根カスミソウ

学名はG.paniculata、地中海沿岸、中央アジア、シベリアが原産です。一年草のカスミソウは暑さで枯れますが、こちらは夏を越させる事ができます。一年草よりも花が密に咲くのでブーケなどに人気があり、八重咲きと一重咲きがあります。宿根草なので冬は寒さで地上部の葉を枯らせて越冬し、春になると茎を伸ばしてまた花を咲かせます。やや暑さが苦手で枯れてしまう事もありますが、種が売られているので暖地では秋に種まきして翌年の春に花を咲かせる事もできます。

八重咲きの宿根カスミソウ

春になると茎が伸びてきます

ギプソフィラ・レペンス

学名はG.repens、スイスのアルプスやピレネー山脈に自生する高山植物です。匍匐性で草丈は20cmぐらいと低く、マット状に広がって沢山の1cmぐらいの花が咲きます。とても排水性の良い土を好むのでロックガーデンにも向いています。 花は暖地では4月中頃から咲きます。
ギプソフィラ・レペンス

オノエマンテマ

学名はG.cerastioides、ヒマラヤが原産の高山植物です。葉は広く匍匐性で草丈は20cmぐらいと低く、マット状に広がって1cmぐらいの白い花を咲かせます。冬になると地上部の葉が減って越冬しますが、早春になると新芽が出てきて暖地では4月中頃から咲きます。
オノエマンテマ

カスミソウの育て方

良い花を咲かせるには

日当たりのよい所で育て、水やりは過湿にならないようにします。肥料が多いと草丈が高くなって花数も少なくなるので、与えすぎないように注意します。学名にGypsophila(石灰を好む)という名前が使われるぐらいなので、植える前は苦土石灰をしっかりと混ぜて植えます。

種まき

暖地での種まきは秋の9月中旬から10月頃に行うとよいです。方法は箱まきなどで行い種が隠れるように覆土します。移植を嫌いますが、小さい時に根を痛めないよう丁寧に移植すれば大丈夫です。本葉が2、3枚になったらポットに仮植えし、根が回ってきたら30cmぐらいの間隔に植え付けます。植える時は根鉢を壊されるのを嫌うので、できるだけ壊さないようにします。
10月上旬

発芽
10月下旬

仮植え前

仮植え

植え付け

一年草タイプ、宿根カスミソウ

苗が出回る事があるので入手したら植え付けます。鉢植えの用土は花の培養土にパーライトなどを1割ほど混ぜて水はけを良くしたり、自分で作る場合は赤玉土(小粒)6、腐葉土3、パーライト1などです。石灰を好むので用土1リットルにつき指一摘み〜二摘みの苦土石灰を混ぜておくとよいです。花壇は日当たりの良い所に牛糞などの堆肥と多めの苦土石灰をまいて耕し、30cmぐらいの間隔に植えます。 霜に比較的強いですが、秋に植えた場合は軽く霜よけしておくと安心です。

秋に種まきしたポット苗

晩秋に植え付け

1月に霜を被ったカスミソウ

ギプソフィラ・レペンス、オノエマンテマ

高温多湿を嫌うので、暖地では鉢植えの方が夏は涼しい半日陰に移動できるので育てやすいです。植え付けの用土は市販されている山野草の培養土に、石灰を好むので用土1リットルにつき指一摘み〜二摘みの苦土石灰を混ぜて使うとよいです。匍匐して横に伸びるので平鉢に植えてもよいです。
ギプソフィラ・レペンスの植え付け
ギプソフィラ・レペンス
オノエマンテマの植え付け
オノエマンテマ

水やり

過湿を嫌います。鉢植えでは鉢土の表面が白く乾けば与えます。花壇ではあまり雨が降らないようなら与えます。

肥料

肥料が多いと葉が茂り過ぎてよい花が咲かないので、与え過ぎないように注意します。鉢植えは秋と春の間に緩効性の化成肥料を置き肥するとよいです。花壇では牛糞などの堆肥を混ぜて植え付け、その後は春から開花前に1、2回、速効性の化成肥料などを控えめに追肥するぐらいです。

支柱

草丈が高くなるタイプは、強風や雨で倒れてしまう事があるので支柱で支えておくとよいです。

アブラムシに注意

発生すると葉の汁を吸われて生育が悪くなります。見つけたら殺虫剤を散布して駆除します。株元にオルトラン粒剤を蒔いておくと予防する効果があります。

切り花を花瓶で楽しむ

切り花にして花瓶に生けると1週間から10日ぐらい楽しめます。数本のカスミソウだけを生けても美しいですが、他の花と一緒に生けると霞がかかったような美しさになります。 花の終わったものは乾燥させてドライフラワーにも利用できます。

花瓶のカスミソウと他の花

その他、宿根タイプの管理

宿根カスミソウの摘心

春の3月頃になったら、新しく伸びた芽の先端を摘心すると、脇芽が増えて花茎の数を増やせます。

花後の処理

咲き終わった花茎は元の方から切り取ります。ギプソフィラ・レペンスは茎が沢山伸びて風通しが悪いので、株元から数節残して刈り込むとよいです。
ギプソフィラ・レペンスの刈り込み

刈り込み前

刈り込み後

その後の秋

夏の置き場所

日当たりを好むのですが、夏の暑さは嫌います。夏は半日陰になる所や、遮光ネットで覆って強い日差しから守るとよいです。高温多湿を嫌うので、鉢植えは梅雨の長雨には当てないようにして、風通しのよい棚の上などに置くとよいです。

冬の管理

冬は休眠するので肥料は必要ないです。鉢植えの水やりは鉢土が白くなってから数日と控えめに、初春になって芽が出てきたら鉢土の表面が白く乾けば与えます。花壇では自然の雨だけで十分です。

植え替え

鉢植えの植え替えは毎年します。時期は秋の9月下旬頃から10月中旬頃か春の2月下旬から3月頃に行います。根鉢を壊されるのを嫌うのであまり壊さずに一回り大きな鉢に植え替えます。用土は植え付けの項目と同じです。数年してよい花が咲かなくなったら、挿し芽や種まきから作り直すとよいです。
3月にオノエマンテを植え替え

植え替え前

植え替え後

挿し芽

時期は春の5月から6月頃、秋の10月頃にも行えます。長さ5cm程の若い挿し穂を用意して、一番下から1、2節ほどの葉をちぎって20分ぐらい水を入れたコップなどにつけて水あげします。葉を半分ほどの長さに切ると、葉から水分の蒸散が減ってしおれ難くなります。葉のちぎった節が用土に埋まるよう、あれば発根促進剤をつけて挿します。用土は中性ぐらいになるようパーライトに川砂を混ぜたものなどを利用するとよいです。暖地の花壇では夏の暑さで枯れる事があるので、挿し芽して苗を涼しい日陰で越させ秋に植え付けてもよいです。
4月下旬

葉を半分に切った挿し穂

ポットに挿し芽
6月下旬

新芽が伸びて発根しました

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